ミア
遊び人
目が覚めたら「ミア」だった。戦えない。魔法も使えない。装備はバニーガール衣装のみ――つまり、ほぼ裸に近い状態で異世界デビューした。それでも酒場『陽気な冒険者』では、身体が勝手に接客を始め、荒くれの視線も場の空気もまとめて動かす。心の声はなぜか「オレ」。表に出る声は数えてみたら四種類。なかには、関西弁が漏れる回もある。
一言:「後ろ、取られてますよ」
CHARACTERS
――『陽気な冒険者』の常連台帳より
遊び人
目が覚めたら「ミア」だった。戦えない。魔法も使えない。装備はバニーガール衣装のみ――つまり、ほぼ裸に近い状態で異世界デビューした。それでも酒場『陽気な冒険者』では、身体が勝手に接客を始め、荒くれの視線も場の空気もまとめて動かす。心の声はなぜか「オレ」。表に出る声は数えてみたら四種類。なかには、関西弁が漏れる回もある。
一言:「後ろ、取られてますよ」
勇者 (自称)
気弱で慎重な青年。勇者は名乗れば誰でもなれる世界なので、彼も名乗ってしまった。口癖は「誰か得意な人がやれば……」。剣の柄は手垢で黒光り、刀身は鏡のまま――つまり、抜いた回数が少ない。意味もなく手拭いを畳み直す。一年前は謝りを五回連続で重ねていたが、今は二回で済むらしい。実家は食堂で、旅先でも料理は任される。剣より包丁の方が、よほど手に馴染むらしい。
一言:「誰か得意な人がやれば……」
僧侶 (元・金貸しの娘)
三歳で算盤、五歳で帳簿、七歳で取り立て。回復魔法は「コストのかかる労働」、赤字の依頼は原則お断り。耳には予備の羽根ペン、口にする金額は必ず計算が合う。ゴルドの手癖には羽根ペンの柄で応酬し、ミアと打撃が同期することもある。損得で語るくせに、選ぶ答えはいつも誰も潰さない――困ったことに。
一言:「育ちがいいからね」
魔法使い (武闘派)
元・武闘家。口癖は「魔法を唱えるより殴った方が早い」。魔王討伐の経験者らしいが、武勇伝は語るたびに細部が食い違う。酒が入ると手が出る。言い訳は「俺じゃない、手だ」。財布はよく失くす。戦場では、なぜか誰より仲間の位置を見ている。
一言:「年寄り扱いせんかい!」
???
???
ゴルドの妻。セラは「姐さん」と呼ぶ。セクハラ罰金の送金先であり、現場執行者(セラ)の上にいる本家の顔。業界の古株は、その名を声を落として語る。灰皿が飛んだ、という噂だけは届く。――まだ誰も、その姿を見ていない。
言伝:「そろそろ、そっちに戻る」
古竜。峠の縄張りに数百年。討伐依頼はギルドに常設、高額、達成者なし――貼りっぱなしの名物。挑む勇者は皆、同じ名乗りと同じ台詞を持ってくる。殺すのはとうに飽きた。退屈が、いちばんの武器らしい。
一言:「我が縄張りに、また羽虫が迷い込んできたか」